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院内技工士の『入れ歯のはなし』Part 3 〜院内技工室の紹介〜

2019.08.10

立秋を迎え、暦の上では秋になりましたが、まだまだ厳しい残暑が続きそうですね。

こんにちは!歯科技工士の桑名です。

 

本題に入るまえに、、、

実は今、日本の歯科医療の技術は世界から注目されています。

その中でも特に入れ歯の技術については関心が高く、

国内で有名な歯科医師、歯科技工士の先生方は世界中を飛び回っている現状があります。

つまり、日本最先端=世界最先端といっても過言ではないぐらいです。

 

先日はそんな世界で活躍されている歯科医師の相澤正之先生と歯科技工士の岩城謙二先生による

『e-Denture®︎でさらに上を目指す』というコースの最終回を受講してきました。

 

セミナーの内容としては非常にレベルが高く、もはや芸術と言える程の技術で、

日本人の職人魂を感じました。

そして、その職人技を誰でも出来るように考えられたのが、

このe-Denture®︎というシステムです。

 

感覚ではなく、良い意味でシステマチックに行うことによって、

すぐに臨床に取り入れることができるので、非常に学びが多く、

有意義な時間を過ごすことができました(^^)

これから臨床でどんどん実践して成果を出したいと思います。

具体的な治療方法については、また後日アップします!

 

 

さて、ここからが本題ですが、今回は普段見ることができない院内技工室を紹介したいと思いますヽ(^o^)

まずこれがメインのデスクです。

ここで歯を作ったり、金属のバネを作るための準備をしたりします。

 

 

デスクの周りには様々な機械が並んでいます。

これは鋳造機です。

入れ歯のバネの部分や、保険外の薄い入れ歯は金属を鋳造して作っています。

歯に対してぴったり合うように作らないといけないので、超精密な鋳造精度が求められます。

ちなみに、これがあれば指輪などのアクセサリーも作れます(^^)

技工士が婚約指輪を自分で作るのはあるあるです(笑)

 

ここでは模型を作ったり、水回りの作業をします。

模型に使う石膏は0.1g単位で計量し、常に一定の品質を保てるように管理しています。

次のこの機械は、器具を洗浄したり、入れ歯の完成前に※脱ロウ作業で使う洗浄機です。

※ピンク色のところがロウで、このロウで形を作ったところをプラスチックに置き換えます。

↓↓↓

 

↑↑↑これがプラスチックに置き換えるための機械です。

入れ歯の種類に応じて使い分けています。

上のががイタリア製、下のがドイツ製です。

精度はもちろんですが、個人的に海外の機械はビジュアルがかっこよくて気に入っています(笑)

 

 

症例発表やプレゼンで使うための写真を撮るスペースも設けています。

台はホームセンターで木材の切れ端を買ってきてDIYしました(^^;)

簡単ですがこれが院内技工室の全貌です。

当院はこのように機械が揃っているので入れ歯に関しては全て院内で製作することが可能ですが、

実はほとんどの歯科医院では、院外にある歯科技工所というところに外注しています。

 

平成30年の厚生労働省のデータによると、

歯科技工士の総数34,640人に対し、歯科技工所で勤務する技工士は24,972人で、

病院・診療所で勤務する技工士は9,166人となっており、

全体の構成割合でいうと26.5%になります。

すなわち院内技工室を保有する歯科医院は全体のうち、

多くても15~20%程度になるかと思われます。

 

 

院内技工室があるメリットとしては、何より技工士が直接患者さんと対話できることで、

完成する入れ歯の質が上がります。これは噛み合わせや見た目など細かい要望を聞くことができるためです。

また、入れ歯が壊れてしまった時や歯が抜けてしまった時など、急な修理に対応することができます。

簡単なものであれば即日でのお渡しも可能です。

そして、外注作業が無いために通常よりも早い期間で仕上がります。

 

以上で院内技工室の紹介を終わりますが、

数ある歯科医院の中から当院を選んで下さった患者さんには、

「ここに来てよかった」と言っていただけるように、これからも精進していきたいと思います。