Case
20代男性 抜歯適応の部位に、欠損補綴として歯牙移植を用いた症例

2021.06

治療前

治療後

年齢・性別 20代男性
相談内容 他院にて治療を中断してしまった奥歯が、穴が大きくなっているのて治療をしたいとご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果 根っこの治療までは終わっていましたが、おそらく土台を立てる前であったため、仮蓋が外れてしまい、虫歯が大きく広がったと考えられます。
2回目の来院時には歯冠が崩壊し、根っこだけの状態であり、その根っこも虫歯が深く進んでいたため、抜歯の適応でした。
抜歯後は欠損補綴をしなければなりませんが、患者の年齢、隣接歯への切削などを考えたときに、機能していない親知らずを移植歯として用いることが最適であると診断しました。
行ったご提案・治療内容 保存不可能な右下6を抜歯し、同日に左上8を用いた歯牙移植術を行い、動かないようにしっかりと縫合、ワイヤーでより強固に固定します。固定中に根っこの治療もし、約1ヶ月の固定期間を経た後、噛み合わせの治療も行います。
治療期間 最終的な被せ物が入るまで、2,3ヶ月かかります。
おおよその費用 6,000円(税別、移植手術のみの費用、保険適応)
術後の経過・現在の様子 痛みもほとんどなく、術後の感染も認めませんでした。
治療のリスク ・初期に感染が生じてしまうと、歯と骨がくっつかず失敗します。
・移植に用いる歯の歯根膜(歯と骨をつなぐ細胞)の状態も重要ですので、予後にも影響を与えます。ドナー歯の検歯は欠かせません。
・長期的な予後においては、根っこと骨が癒着してしまったり、根っこの一部が骨に置換されてしまう可能性がありますが、若年者ほど、統計的に移植の成功率は高いことが分かっています。
・ブラッシングをしないと、天然の歯同様に虫歯や歯周病になってしまいます。
担当歯科医師 佐藤