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入れ歯について学ぶ
2022.11.27
こんにちは。
歯科医師の油井です。
先日、マルチディシプリナリーアプローチ(補綴コース)を受講してきました。
今回は『人生100年時代における新たなる有床義歯治療』
をテーマとして2日間、入れ歯について学んできました。
人生100年と言われている今の時代、
大切なのは単に寿命を伸ばすことではなく、
『健康寿命』を伸ばすことです。
例えば、歯を失った方が入れ歯を入れることでしっかり噛むことが出来るようになり、
きちんと栄養摂取することで健康に長生きすることができます。
入れ歯を入れるとなると、大きい異物を口に入れるような印象があると思います。
しかし、入れ歯は患者さんが失った歯だけではなく、
歯茎やその下の骨まで補う役割をしています。
本来あるべきものを補うことで、
お口周りの筋肉や舌と調和がとれ、
しっかりと噛むことができるようになります。
では、より良い入れ歯を作るには何が重要なのでしょうか。
今回のセミナーでは、入れ歯を作るにあたって基本でありかつ最重要とされている印象採得(型取り)について詳しく学んできました。
型取りとは患者さんのお口の中の状態を記録する処置です。
その型をもとに入れ歯を作っていきます。
つまり型が精密に取れていないと良い入れ歯はつくれないということです。
型取りの仕方を模型を使った実習で学ぶことが出来ました。
トレーのカスタマイズの仕方から、
材料の盛り方、力の入れ方、固まるまでの待ち時間についてまで、
細かく徹底的に教えて頂きました。
では、良い入れ歯が完成したらすぐ快適に使えるのでしょうか。
新しい入れ歯を使う時や、長い間歯がない状態で過ごしていた方は、
最初入れ歯を使う時、違和感を感じる方が多いです。
歯がない状態で食べたり話したりすることに慣れてしまって、
お口周りの筋肉や舌を上手く動かせていないからです。
そこで必要なのが『入れ歯を使ったリハビリ』です。
入れ歯を使って食べたり話したり沢山することで筋肉が正常な動きを取り戻し、
良い入れ歯を上手く使いこなすことが出来るようになります。
しかし、一生懸命使っていると、痛みが出ることがあります。
これは、靴擦れと同じです。
使っているうちに擦れた部分は固くなり、入れ歯は口に馴染んでいきます。
入れ歯治療は良い入れ歯を作ることだけでなく、
口の中の状態を整えることも入れ歯治療の一環ということです。
入れ歯治療は、患者さんの協力あっての治療です。
今回のセミナーで学んだことを生かし、
人生100年時代と言われるこの時代に、
最後まで楽しく食事をする手助けが出来るよう今後も精進していきます。