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『審美修復治療におけるさまざまな症例への対応』
2022.12.05
こんにちは。歯科医師の金岡です。
年末も近づき一段と寒くなってきましたね。
みなさま体調はいかがでしょうか。
先日、保存修復・補綴のスペシャリストである
青島徹児先生と岩田淳先生によるセミナー
『審美修復治療におけるさまざまな症例への対応』を受講してきました。
午前中は岩田先生の講義を聞きました。
岩田先生からは主に前歯の審美修復について、
メインテーマは『ラミネートベニア』についてです。
ラミネートベニアとは?
歯の表面を少しだけ整え、付け爪のように薄いセラミックを歯に貼り付けて、見た目を改善する治療方法です。
奥歯でやることはほとんどなく、
上顎の前歯に用いることが多い治療です。
例えば、
・歯の変色
・歯と歯の間に隙間がある
・矮小歯などの生まれつき小さな歯
・古い詰め物の色が気になる
などに適応できる場合があります。
以前は上記のような状態の場合、クラウン(全部被せる被せ物)で治すこともありました。
しかし昨今の歯科医療の接着技術が進歩したことにより、
ラミネートベニアによる修復が可能となり、クラウンと比べると歯を削る量をかなり少なくすることができます。
また、材質はセラミックですので、プラスチックの詰め物のように経年的な変色が起こることもありません。
天然の歯に近い色と形態により審美的にも改善することができます。
ただし、大きな虫歯がある場合は接着がうまくできなかったり、
歯ぎしりや食いしばりの強い方は割れてしまう可能性もあったりするので
ラミネートベニア修復が可能かどうか十分な診査が必要になります。
岩田先生が普段行っている症例を写真を踏まえて解説をしていただき、
形態を作る方法や接着の仕方など大変勉強になりました。
午後は青島先生の講義を聞きました。
青島先生からは主に臼歯の審美修復についてです。
初めて虫歯ができた時にどうアプローチするのか?
虫歯をとった後どのように補うのか?
虫歯への介入の仕方や被せ物の選択基準について学びました。
歯は治療を繰り返すほど、歯の寿命は短くなっていってしまいます。
なので、治療をする際の介入の仕方や被せ物の選択がとても大切になります。
初めて虫歯ができた際は、いかにして歯の強度を負担している部分を残して削るかが大切です。
その際はダイレクトボンディングという方法があります。
ダイレクトボンディングとは、
虫歯になった箇所を最小限の範囲で切削し、
その部分を多種類のレジンという材料で詰める治療法です。
他の治療法と比べ削る範囲が少なく、
健全な部分を残すことができます。
また、複雑な歯の形態を再現するために何層ものレジンを詰めることで天然の歯を再現することができます。
すでに大きな被せ物が入っている場合は、残っている歯の量が薄いと欠けてしまう原因になるので、
十分に覆うような形態を付与する必要があります。
その場合は、アンレーやオーバーレイ・クラウンなどが選択されます。
アンレーとは、部分的に歯を覆う被せ物、
オーバーレイ・クラウンは歯の頭を全て覆う被せ物です。
ダイレクトボンディングにしろ、詰め物の接着をする際にはラバーダムが欠かせません。
唾液の排除をすることで、当該歯の湿度をコントロールすることができ、それが接着の強度に繋がります。
初めて虫歯ができた時の対応、虫歯をとった後どのように補うのか
虫歯への介入の仕方や被せ物の選択基準がどれほど重要かを勉強できました。
歯は治療を繰り返すほど、歯の寿命は短くなっていってしまいます。
虫歯の状態によって治療の選択方法は変わるので、治療の際は、担当の先生と相談して決めて頂けたら幸いです。