Case
30代女性 歯根破折による保存不可能な部位に、近時移植を行った症例

2022.01

治療前

治療中

抜歯2週間後

治療後

年齢・性別 30代女性
相談内容 左下奥歯の被せ物が取れてしまったので治療をしたいとご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果 左下7は金属の土台に銀歯を被せていましたが、根っこの片方が真っ二つに破折しておりました。
炎症が著しく進んでおり、歯を支えている骨が大きく溶けている状態で抜歯の適応でした。
抜歯後に喪失する咀嚼機能を回復させなければなりませんが、咀嚼運動に参加していない状態の良い親知らずを移植歯として用いることが、本ケースでは最適であると診断しました。
行ったご提案・治療内容 左下7の炎症が著しいため、先行して保存不可能な左下7を抜歯し、上皮の治癒を1ヶ月ほど待ってから、右上8を用いた歯牙移植術(近時移植)を行い、ワイヤーで固定します。
固定中に根っこの治療も行い、約1ヶ月の固定期間を経た後、噛み合わせの治療をします。
治療期間 最終的な被せ物が入るまで、3〜4ヶ月かかります。
おおよその費用 約6,000円(移植手術のみの費用、保険適応)
術後の経過・現在の様子 抜歯後、移植後ともに痛みはあまりなく、術後の感染も認めませんでした。
治療のリスク ・初期に感染が生じてしまうと、歯と骨がくっつかず失敗します。
・抜歯と移植を同日に行う即時移植という方法もありますが、本ケースでは強い炎症を認めましたので、失敗のリスクを下げるため、抜歯処置から移植処置まで1ヶ月ほど待つ近時移植という方法を選択しました。
・長期的な予後においては、根っこと骨が癒着してしまったり、根っこの一部が骨に置換されてしまう可能性がありますが、若年者ほど、統計的に移植の成功率は高いことが分かっています。
・ブラッシングをしないと、天然の歯同様に虫歯や歯周病になってしまいます。
担当歯科医師 佐藤